【重力金型鋳造とは】
重力鋳造(別名:グラビティ鋳造、Gravity Casting)とは、溶けた高温の金属(湯)を特に圧力をかけず地球の重力作用のみでに静かにゆっくりと型に流し込み、冷却凝固成形する鋳造方法です。
高い圧力をかけて素早く成形するダイカスト鋳造と比べて空気の巻き込み(鋳巣)が少なくゆっくり冷やされるため、肉厚で高い信頼性と高強度を要求される複雑形状の製品を作るのに適しています。
使用する型により砂型重力鋳造と金型重力鋳造の2種類に大別されます。ここでは重力金型鋳造について述べます。
重力鋳造の一般的な基本製造プロセスは以下のとおりです。
1.湯を型の湯口から注ぎ込む。
2.型内部の縦湯道、横湯道、内湯道を伝って湯が型全体に行き渡る。
3.型を冷却し、湯を固化させる。
4.型を開いて鋳物を取り出す。
メリット
- 製造プロセスが比較的シンプルで経済的な製品が製造可能。
- ダイカストでは不可能な中空構造物が製造出来る。
- 型変形が起きづらく寸法精度が高い。
- 型を壊す必要がなく繰り返し使用可能。
- 表面の凸凹(鋳肌)が少なく綺麗。
- 生産効率が高い。
- 急冷されるので組織が緻密で高強度。
- 作業者の練度の違いによる品質差が起きにくい
デメリット
- 型費用が高い。
- 肉厚3mm未満の薄肉は製造困難。
- 抜き勾配が必要でアンダーカットは困難な場合が多く形状に制限が生じる。
- 重巨大な鋳物は作れない。
- 鋳造に時間がかかりダイカストのような高い生産性はない。
- 引け巣、収縮ボイド、割れなどの欠陥が発生しやすく緻密なプロセス制御が必要。
主な用途
- 中規模の量産
- 複雑な構造の部品
- 自動車のエンジンブロック、シリンダーヘッド、トランスミッション、モーターケース、タイヤホイール
- ロボットの筐体
- 自転車やバイクのフレーム
- 揚水ポンプ、空圧のハウジング
- 産業機器のギヤボックスやメカニカルボックス
- 電子機器の放熱筐体
- ドアや窓部品、装飾部材などの建築資材
金型の善し悪しは製品の出来映えに直結する極めて重要なファクターですが、高圧に耐える必要はないためダイカストよりは安価です。
試作や少量のもの削りやすいアルミニウムを採用した簡易型と称する安価なものがあります。
金型は高品質なものづくりで世界をリードしていた日本のお家芸であり、それは今でも変わりはありません。
しかし、モノヅクリのデジタル化と予測シミュレーションの進化によってその差は縮まり、低価格を武器とする海外製金型は増加傾向にあります。




