金型重力鋳造

【金型重力鋳造とは】

重力鋳造(別名:グラビティ鋳造、Gravity Casting)とは、溶けた高温の金属(湯)を特に圧力をかけず地球の重力作用のみでに静かにゆっくりと型に流し込み、冷却凝固成形する鋳造方法です。高い圧力をかけて素早く成形するダイカスト鋳造と比べて空気の巻き込み(鋳巣)が少なくゆっくり冷やされるため、高い信頼性と高強度を要求される複雑形状の製品を作るのに適しています。使用する型により砂型重力鋳造と金型重力鋳造の2種類に大別されます。ここでは金型重力鋳造について述べます。

重力鋳造の一般的な基本製造プロセスは以下のとおりです。
1.湯を型の湯口から注ぎ込む。
2.型内部の縦湯道、横湯道、内湯道を伝って湯が型全体に行き渡る。
3.型を冷却し、湯を固化させる。
4.型を開いて鋳物を取り出す。

 

■メリット

  • 鋳物組織が緻密で鋳巣が少なく、機械的特性に優れる。
  • 寸法精度が高い(IT12~IT14級)
  • 製造プロセスが比較的シンプルで経済的な製品が製造可能。
  • ダイカストでは不可能な中空構造物が製造出来る。
  • 砂型鋳造と比べて鋳肌が平滑。

 

■デメリット

  • 肉厚3mm未満の薄肉は製造困難。
  • 鋳造に時間がかかりダイカストのような高い生産性はない。
  • 品質は作業者の技能に依存する傾向が強い。
  • 引け巣、収縮ボイド、割れなどの欠陥が発生しやすく緻密なプロセス制御が必要。

 

■主な用途

  • 中規模の量産
  • 複雑な構造の部品
  • 自動車のエンジンブロック、シリンダーヘッド、トランスミッション、モーターケース、タイヤホイール
  • ロボットの筐体
  • 自転車やバイクのフレーム
  • 揚水ポンプ、空圧のハウジング
  • 産業機器のギヤボックスやメカニカルボックス
  • 電子機器の放熱筐体
  • ドアや窓部品、装飾部材などの建築資材

当社の取り組み

お客様から提供された製品図面を基に当社または提携工場で金型の設計製作を行います。鋳造は2箇所の提携工場で行っています。これらの工場では重力鋳造の他、低圧鋳造、砂型鋳造、ダイカストも行っている鋳造専門工場であり、中国では中規模程度の工場です。

東莞の重力鋳造工場

東莞の重力鋳造工場

重力鋳造工場

重力鋳造工場

当社の特徴

当社の大きな特徴は、窓口を集約した一貫生産管理体制によりお客様ニーズを的確に反映したものづくりを基本スタンスとして、金型の自社製作を活かしたコスト競争力と柔軟な製造体制を整えている点です。

一般論として重力鋳造は組織が緻密で高気密性に優れた鋳物を生産できますが、金型開発期間が比較的長く高コストのため、従来は小ロット需要は現実的ではありませんでした。
当社の金型製作ノウハウを重力鋳造に注ぐことで低コスト化が図られ、重力鋳造の小ロット対応を実現しています。

重力鋳造は、湯の充填が穏やかでセクションによって個別の冷却制御が可能なため、内部の鋳巣や収縮ボイドはダイカスト品に比べて極めて少なく高品質なものが比較的容易に得られるとはいえ、先端産業や重要保安部品など用途によっては耐圧、動的負荷などに応じて厳格な品質検証が求められます。
当社はX線透過試験をはじめとして各種試験に対応しており、長きにわたって自動車、鉄道車両、産業用ロボット、高性能モーターなどの用途で重力鋳造部品を供給しており豊富な実績があります。

当社独自の柔軟な製造管理体制により、生産計画切り替えが容易で急ぎの納期にも対応しやすいのも特長のひとつです。
生産量の振れ幅が大きく短納期でコストも品質要求も極めて厳しい大手EV自動車メーカー様にご採用いただいている証左でもあります。

重力鋳造機20台所有

重力鋳造機のうち、上下式重力鋳造機は、重力鋳造業界におけるもっとも標準的な装置です。
構造がシンプルで製造プロセスが安定しており、安価な利点を活かして中大型アルミニウム合金構造部品(特にホイール、ケース類)の生産で第一選択として検討される設備となります。

傾斜式重力鋳造機(Tilting Gravity Die Casting Machine) は、金型を傾転させ、湯の充填プロセスを最適化する先進的な重力鋳造装置です。
従来の上下式重力鋳造装置をベースに、金型全体または注湯システムに回転・傾斜機能を追加することで、鋳物品質や歩留まりを大幅に向上することが可能です。特に薄肉、複雑構造、高強度、高信頼性を要求される部品に好適です。

当社提携工場では2社合わせて9台の重力鋳造機と11台の傾斜式重力鋳造機を所有しています。

断熱炉

断熱炉

重力鋳造工場

傾斜式重力鋳造機

時効炉

時効炉

ショットブラスト機

ショットブラスト機

製造性考慮設計(Design For Manufacture:DFM)

重力鋳造における製造考慮設計(Design for Manufacturing:DFM)は、製品を効率的、安定的、かつ低コストで生産するための極めて重要な事前工程です。

重力鋳造は重力による自然流動充填に依存し、冷却が比較的遅く熱処理などの後処理を鑑みた特異的なDFM要件が存在します。

当社は、創業当初から蓄積した経験や技術資源、人的資源を活かし、MAGMA、ProCASTなどのシミュレーションソフトを用いて充填・凝固解析を行い、リスクを事前に洗い出しています。製品設計の初期段階でDFMレビューを導入することで設計対応力向上を図り、金型修正工数を50%以上削減、開発期間も3割程度短縮に成功しています。

適切な構造設計により、安定した充填、順次凝固、欠陥のない離型等を実現し、後工程の熱処理および機械加工の条件を整えていることでトータルでコストの削減や納期短縮を図っています。

金型リードタイム25日~40日、最小生産数5個

当社は、SKD61、H13などの標準熱間工具鋼の使用をサポートするだけでなく、プロジェクトの段階に応じてP20、FDACなどの被削性に優れたプレハードン鋼を柔軟に採用した簡易金型の採用により、25日~40日の短納期での製品提供を実現する他、5個からの小ロット試作受注にも対応しています。

簡易金型の価格は小型部品で8,000人民元程度からであり、お客様の研究開発検証初期段階における資金負担を大幅に軽減します。

金型寿命に関しては、簡易金型で3,000~8,000個以上(アルミニウム合金)、本型では50,000~100,000個以上の安定生産が可能です。

ODM設計能力

当社は完全なODM設計能力を有しており、製品構造の最適化、DFM分析からプロセス検証まで一貫したサポートを提供し、鋳物の製造可能性と機能性を両立させています。

製品化ニーズ対応

以前から重力鋳造業界でも「試作・小ロットは日本国内、量産は海外製造」という分業モデルが一般的でした。昨今では企画開発試作段階から当社が参画させていただくことで、金型の重複製作や設計の手戻りを回避できるだけでなく、開発期間と総コストを大幅に圧縮しています。電気自動車、産業用ロボット、高性能モーターなど、性能に厳しい要求がある先端産業分野において、品質と効率を兼ね備えた重力鋳造ソリューションを提供します。

豊富な機械加工設備

当社は90台以上の工作機械を保有し、重力鋳造後の孔開けや切削など各種機械加工に十分な対応力があります。

各種表面処理に対応

含浸処理、陽極酸化、粉体塗装、サンドブラスト / ショットブラスト、機械研磨 / 鏡面研磨など、各種表面処理に対応可能です。自社設備または協力工場を通じて対応します。

各種試験評価への対応

気密試験、疲労試験、強度試験、非破壊検査(X線、産業用CT、超音波)、金属組織分析及び化学成分分析など、多種多様な検査項目に対応しています。

成分測定用サンプル

成分測定用サンプル

X線透過検査装置

X線透過検査装置

例えば、モーターケース、油圧バルブボディ、冷却板など、高気密性や水密性が要求される部品に対しては、真空含浸処理を実施し、0.3~1.0 MPaの保圧リーク試験を組み合わせ、漏れリスクがないことを確認します。併せて、疲労寿命試験、静的強度試験、X線デジタル撮影(DR)、産業用CTによる三次元欠陥解析、超音波探傷試験(UT)、ならびに金属組織と化学成分の検証を含む全工程の検査を実施し、過酷な使用条件下における製品の長期信頼性を包括的に保証しています。

標準的な製造プロセス

1.製品図面を基に金型を設計し製作する。
2.金型を余熱や捨て打ちなどで250~300℃に温める。
3.金型に離型性コーティング(水溶性グラファイトなど)を厚さ0.1~0.3mmで塗布する。
4.素材を高温(アルミの場合、650℃~720℃)にして液状(湯)にする。
5.窒素やアルゴンガスなと不活性ガスを金型に吹き込む。
6.スラグ除去(スラグ掻き取り)、成分調整を行う。
7.注湯温度を680~740℃に制御する。
8.湯口から湯を5~30秒かけて静かに金型に注ぎ込み、重力を利用して自然充填を行う。
9.金属組織が緻密化するよう金型を制御冷却する。
10.押湯(補縮用)や冷し金(急冷用)を組み合わせて凝固順序を制御する。
11.肉厚に基づき型開きまでの時間を調整する(肉厚6~20mmの場合10~40秒)。
12.注湯口・押湯の除去およびバリ取りを行う。
13.要求仕様に応じてて熱処理(T6固溶化+時効処理など)を行い、機械的特性を向上させる。
14.表面処理(ショットブラスト、含浸処理など)を行う。

素材の材質

  • アルミニウム合金:ADC12 A383 A356 ZL101A AC4C AlSi10Mg
  • マグネシウム合金:AZ91D AM60B
  • 銅合金     :錫青銅(ZCuSn10Zn2) アルミニウム青銅(ZCuAl10Fe3)

製品重量

  • アルミニウム合金:0.5kg~50kg
  • マグネシウム合金:0.3kg~10kg
  • 銅合金     :1kg~15kg

2026年2月5日
惠州市天龍記金型鋼材有限公司

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